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レプリカについて

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産状レプリカ

モササウルスのような脊椎動物化石の研究を進めるためには、それぞれの骨の形を正確に知る必要があります。そのため多くの骨化石は最終的にはクリーニングによって石から完全に分離させることになるのですが、そうすると骨がどのように並んでいたかといった産状の情報が失われてしまいます。化石の産状には、その生物が死んでからどういう過程を経て化石になったのかという情報が含まれていることもあるので、研究上とても重要です。そこで化石の産状を記録しておくために産状レプリカを作成しました。

産状レプリカは上半面のクリーニングが終了したブロックごとに随時作成しました。すべてのブロックをつなぎ合わせて、3×1mほどの巨大な産状レプリカとなり、現在常設展示室にてご覧いただけます。(写真)

また、クリーニングの完了した骨化石についても、全てレプリカを作成する予定です。最終的には足りない部分を補って全身復元骨格を作成したいと考えています。

今後の展望

国内では40例近くのモササウルスの化石が発見されていますが、これほど多くの部位がそろって発見された例は過去になく、産出量ではまちがいなく日本一のモササウルスの化石と言えます。
特に注目すべきは後ろ足に続いて前足の化石が得られたことで、これはアジア初の快挙です。
また、頭骨もバラバラになってはいるもののその構成骨はかなり保存されていました。脳函、上顎骨の一部、ほぼ完全な状態の下顎骨など貴重な部位が産出しています。頭骨は詳しい種類の同定を行うにあたって非常に重要な部位ですので、今後の研究に役立つでしょう。

鳥屋城山(とやじょうさん)のモササウルスの化石はクリーニングが終了し、その全貌が明らかになりました。
今はまだ「モササウルス亜科の一種」という予察的な見方がなされているだけですが、より詳しい種類も明らかになるでしょうし、もしかすると新種として名前がつけられるかもしれません。全身骨格や生きていたときの姿もかなり忠実に復元できるでしょう。

日本を含む東アジアにおいては、モササウルスの精度の高い復元というのはなされたことがありませんので、北米やヨーロッパなどのモササウルスと比べて進化の過程などに違いがあるのかどうかなどまだよくわかっていません。
こういった謎を解明していく上で、鳥屋城山(とやじょうさん)のモササウルスは重要な鍵になるものと思われます。この化石は今後、世界中から注目されることになるでしょう。
今後の研究の進展が非常に楽しみです。