−湯浅町・吉備町から−

 
 湯浅町から吉備町西部にかけては、有田層と呼ばれる地層(海や湖の底などに砂や泥がたまり、それらが層状に積み重なってできたもの)が広く分布しています。有田層は海底で形成された地層で、その年代は、恐竜時代のまっただ中である中生代白亜紀前期(約1億3000万年前)と考えられています。
 この頃の和歌山は、現在とはかなり様子がちがい、紀伊半島は影も形もなくて、和歌山のほとんどは海におおわれていました。湯浅町や吉備町を含む有田地方には浅い海が、これより南には深い海が広がっていたようです。
 一般に浅い海は深い海に比べて生きものが豊富ですが、有田の海もそうだったようで、有田層からは当時の海にすんでいた生きものの化石がたくさん見つかります。その主なものはアンモナイトや二枚貝、巻貝、ウニなどですが、これらを食べる大型の魚類や海生爬虫類もいた可能性はあります。将来そんな生きものの化石が発見される日が来るかもしれません。
 
このコーナーでは、有田層から発見された化石約37点を展示しています。ここではそのうち14点についてご紹介しましょう。
*写真の白黒のスケールは一目盛り2pです

アンモナイト 学名:Shasticrioceras nipponicum

名前:シャスティクリオセラス・ニッポニカム
産地:和歌山県有田郡湯浅町栖原
地層:有田層
年代:中生代白亜紀前期 (約1億3000万年前)

 パラクリオセラスと同じようにゆるく巻いた殻を持っていますが、大きなトゲは見あたりません。

アンモナイト 学名:Paracrioceras aff. elegans

名前:パラクリオセラス属の一種
産地:和歌山県有田郡湯浅町栖原
地層:有田層
年代:中生代白亜紀前期 (約1億3000万年前)

 少しほどけてゆるく巻いた殻を持つアンモナイトです。殻の表面にはトゲもあります。アンモナイトの長径は約6pです。

アンモナイト

名前:属種不明
産地:和歌山県有田郡湯浅町栖原
地層:有田層
年代:中生代白亜紀前期 (約1億3000万年前)

 このアンモナイトの殻はうずまきではなく、ひらがなの「つ」の字のような形をしています。

寄贈:石橋ミ士氏

二枚貝 学名:Nanonavis yokoyamai

名前:ナノナビス・ヨコヤマイ
産地:和歌山県有田郡湯浅町栖原
地層:有田層
年代:中生代白亜紀前期(約1億3000万年前)

 シコロエガイに近縁な絶滅種です。この標本は殻が溶けた印象化石なので、何も模様がないように見えますが、実は殻の表面にはたくさんの放射状の肋があります。 有田層ではよく見つかる種です。

二枚貝 学名:Modiolus sp.

名前:ヒバリガイ属の一種
産地:和歌山県有田郡湯浅町栖原
地層:有田層
年代:中生代白亜紀前期(約1億3000万年前)

 ヒバリガイは、料理などに使われるムール貝に近い二枚貝です。

二枚貝 学名:Gervillia forbesiana

名前:ゲルビリア・フォルベシアーナ
産地:和歌山県有田郡湯浅町栖原
地層:有田層
年代:中生代白亜紀前期(約1億3000万年前)

 笹の葉っぱのような長細い殻を持つ二枚貝です。有田層では、断片的なものはよく見つかります。殻の長さは約10pです。

二枚貝 学名:Pinna sp.

名前:ハボウキガイ属の一種
産地:和歌山県有田郡湯浅町栖原
地層:有田層
年代:中生代白亜紀前期(約1億3000万年前)

 長細い三角形の殻を持つ二枚貝です。これの近縁な現生種は、潮干狩りなどをしているとたまに見つかることがあります。

寄贈:大西哲朗

二枚貝 学名:Plicatula sp.

名前:ネズミノテガイ属の一種
産地:和歌山県有田郡湯浅町栖原
地層:有田層
年代:中生代白亜紀前期(約1億3000万年前)

 この標本は殻が溶けたあと、その模様が周りの岩の表面に残されたもの(印象化石)です。ネズミノテガイの殻の表面には放射状の肋があり、その肋の上には針状の突起があるのですが、この標本ではその様子がよくわかります。

二枚貝 学名:Rastellum carinatum

名前:ラステラム・カリナータム
産地:和歌山県有田郡湯浅町栖原
地層:有田層
年代:中生代白亜紀前期(約1億3000万年前)

 カキの仲間です。二枚の殻の合わせ目がギザギザになっていて、まるで牙をむいたワニの口にように見えます。

寄贈:大西哲朗氏

二枚貝 学名:Pterotrigonia pocilliformis

名前:プテロトリゴニア・ポシリフォルミス
産地:和歌山県有田郡湯浅町吉川
地層:有田層
年代:中生代白亜紀前期(約1億3000万年前)

 三角貝の一種です。鳥のつばさのような形の殻で、その表面は太い肋で覆われています。 

二枚貝 学名:Resatrix sp.

名前:レサトリックス属の一種
産地:和歌山県有田郡湯浅町栖原
地層:有田層
年代:中生代白亜紀前期(約1億3000万年前)

レサトリックスは、現生種で言えば、ハマグリに近縁な絶滅種です。

ウニ 学名:Heteraster sp.

名前:ヘテラステル属の一種
産地:和歌山県有田郡湯浅町栖原
地層:有田層
年代:中生代白亜紀前期(約1億3000万年前)

 ヘテラステルはブンブク類に属する絶滅種で
す。現生のブンブク類は泥や砂の中にもぐっ
て生息しています。殻の長径は約7pです。

寄贈:中尾方香氏

植物 学名:Nilssonia cf. densinervis

名前:ニルソニア属の一種
産地:和歌山県有田郡湯浅町栖原
地層:有田層
年代:中生代白亜紀前期(約1億3000万年前)

 ニルソニアは、ソテツの仲間です。

植物 学名:Zamites ? sp.

名前:ザミテス属?の一種
産地:和歌山県有田郡湯浅町栖原
地層:有田層
年代:中生代白亜紀前期(約1億3000万年前)

 ザミテスはソテツの仲間です。有田層は海底で形成された地層ですが、陸から運ばれてきたと考えられる植物の化石がときどき見つかります。