日本にはおおよそ400種のハゼの仲間が生息するとされています。なかには深い海やごく希にしか日本で見られないような種もいます。そのうち、我々が普段目にしているハゼはどれくらいなのでしょう。
ここでは、和歌山県以外で見られる日本のハゼを紹介します。和歌山のハゼと比べていかがでしょうか?

日本の淡水にすむハゼ フィールド画像 (賀茂川 京都府)

日本の淡水にすむハゼ

日本には山が多く、大小さまざまな川があります。また、琵琶湖のような湖もありハゼはそれぞれで生活しています。長い歴史を経て、琵琶湖や離島の川などでは独自の進化を遂げているハゼもいます。これらのハゼの多くは日本固有種です。
(写真:賀茂川 京都府)


日本の淡水にすむハゼ フィールド画像 (琵琶湖大門浜 滋賀県)

(写真:琵琶湖大門浜 滋賀県)


haze-aobarayoshinobori.jpg

アオバラヨシノボリ

ハゼ科ヨシノボリ属
学名:Rhinogobius sp.BB
 沖縄島北部の河川にのみ生息するハゼです。
一生を淡水でおくるハゼで、その生態は不明な点が多い種です。産卵期にはメスの腹部は青色になります。生息場所が限定されていることから、レッドデータブック等にも記載されています。

haze-akabouzu.jpg

アカボウズハゼ

ハゼ科アカボウズハゼ属
学名:Sicyopus zosterophorus
 鹿児島県種子島以南の河川上、中流域に生息します。
上顎の後端が眼を越えること、 鱗の後縁が暗色であることなどが特徴です。オスは体色が鮮やかなため観賞魚として人気があります。
写真提供:仲里裕子氏

haze-ayayoshinobori.jpg

アヤヨシノボリ

ハゼ科ヨシノボリ属
学名:Rhinogobius sp.MO
 南西諸島の河川に生息する両側回遊型のハゼです。
頭部に青い斑点があることが特徴です。普段は川の中流に分布しています。

haze-isaza.jpg

イサザ

ハゼ科ウキゴリ属
学名:Gymnogobius isaza
 琵琶湖の固有種ですが、霞ヶ浦や相模湖にも持ち込まれています。
口が大きいこと、尾柄部が細長いこと、両眼の間隔が眼径程度以下であることが特徴です。通 常は琵琶湖の水深の深い場所に生息し、産卵期にのみ岸近くの浅い砂礫底に現れて産卵します。昔から琵琶湖の漁業対象種であり、近年は激減しているようで す。

ハゼの部屋 日本の淡水にすむハゼ イシドンコ (画像のみ差し替え).jpg

イシドンコ

ドンコ科ドンコ属
学名:Odontobutis hikimius
 
山口県東部から島根県西部の河川に生息することが知られています。下顎の模様、胸鰭基部の二つの黒斑の上方が明瞭であること、オスの生殖突起が黒いことで区別できます。かつてはドンコの「匹見グループ」とも呼ばれていて、2002年に種として認められました。
  *生体は内山りゅう氏より提供

haze-kibarayoshinobori.jpg

イリオモテパイヌキバラヨシノボリ

ハゼ科ヨシノボリ属
学名:Rhinogobius aonumai aonumai
 八重山諸島の西表島の淡水域に生息するパイヌキバラヨシノボリの亜種です。両側回遊型より大きい卵を産んで一生を淡水中で過ごす種です。生息地が非常に限られ危機的な状況です。石垣島にすむイシガキパイヌキバラヨシノボリR. aonumai ishigakiensisもいます。

haze-iwa.jpg

イワハゼ

ハゼ科ウロハゼ属
学名:Glossogobius celebius
 琉球列島以南の感潮域から河川中流域に生息します。
眼の後方に暗色部がないこと、 頬に黒斑が並ぶことなどが特徴です。東南アジアの市場では普通に見られる種類です。

写真提供:仲里裕子氏

haze-ougi.jpg

オウギハゼ

カワアナゴ科オウギハゼ属
学名:Bunaka gyrinoides
 関東地方と奄美大島以南の汽水域から確認されているカワアナゴ科魚類です。20センチ以上の大型になり、以前から学名の「ブナカ」と呼ばれていた種です。詳しい生態は不明な点が多くあります。

haze-ogasawarayoshinobori.jpg

オガサワラヨシノボリ

ハゼ科ヨシノボリ属
学名:Rhinogobius ogasawaraensis
 小笠原諸島の父島(東京都)の河川に生息するハゼです。
一生を淡水域でおくる種で、発見されてから間もないため詳細は不明な点が多いハゼです。生息場所が限定されていることから、保護が必要とされています。

ハゼの部屋 日本の淡水にすむハゼ キジムナーボウズハゼ (前田 健氏提供).jpg

キジムナーボウズハゼ

ハゼ科ヨロイボウズハゼ属
学名:Lentipes kijimuna
 沖縄県の本島と石垣島から知られ、小河川の中・上流域の流れ激しい場所で見られます。オスは、頭部や体側、第二背鰭、臀鰭が鮮やかな赤色になること、鰭には赤い部分を縁取るように黒色帯があること等が特徴です。(写真提供:前田健氏)

haze-kuroda.jpg

クロダハゼ

ハゼ科ヨシノボリ属
学名:Rhinogobius kurodai
 東京都、神奈川県、静岡県などの限られた地域の淡水域で生息が確認されています。近年分けられた種で情報が多くありません。一生淡水で過ごすようです。

haze-shimaukigori.jpg

シマウキゴリ

ハゼ科ウキゴリ属
学名:Gymnogobius opperiens
 北海道から茨城県・福井県までの主に淡水域に生息します。
 第1背鰭や尾鰭基部の斑紋で近縁種と区別できます。

haze-jyuzukake2.jpg

ジュズカケハゼ

ハゼ科ウキゴリ属
学名:Gymnogobius castaneus
 北海道から日高地方から太平洋側では相模湾沿岸、日本海側では兵庫県までの淡水域に生息します。近年、地域ごとにいくつかの種に分かれたため、分布範囲はあいまいな地域もあります。

haze-tametomo2.jpg

タメトモハゼ

カワアナゴ科タメトモハゼ属
学名:Ophieleotris sp.1
 琉球列島に生息し、静岡県からも報告がある種です。
鮮やかな体色で、追い込まれると水面からジャンプして逃げることもあります。名前は平安時代の武将、源為朝(みなもとのためとも)から来ています。

haze-tsubasa.jpg

ツバサハゼ

ツバサハゼ科ツバサハゼ属
学名:Rhyacichthys aspro
 鹿児島県屋久島、奄美大島以南の流れの速い河川渓流域に生息します。日本では死滅回遊で流れついた個体が確認されていると考えられており、繁殖の記録はありません。 ハゼというよりタニノボリやプレコの仲間みたいな外見です。
写真提供:仲里裕子氏

haze-tokaiyoshinobori.jpg

トウカイヨシノボリ

ハゼ科ヨシノボリ属
学名:Rhinogobius telma
 濃尾平野(のうびへいや:愛知県北西部から岐阜県南部に広がる平野)周辺の河川、水路、ため池などで見られるヨシノボリの仲間です。
一生を淡水ですごすヨシノボリ属です。

haze-oumiyoshinobori.jpg

トウヨシノボリ 大型で雄の第1背鰭が高くて烏帽子形の型

ハゼ科ヨシノボリ属
学名:Rhinogobius sp. OR
 琵琶湖・淀川水系が本来の分布地である個体群や日本海側沿岸、九州西南部にある程度まとまった個体群があると考えられますが、日本各地に移入されているうえに、記載されていない地方個体群がある可能性があります。オスの第1背鰭は伸長し、尾鰭には一般にオレンジ色の斑紋が現れます。

haze-touyoshinoboriss.jpg

トウヨシノボリ 小型で雄の第1背鰭が低い型

ハゼ科ヨシノボリ属
学名:Rhinogobius sp. OR
 関東などの地域にある程度まとまった個体群があると考えられますが、日本各地に移入されているうえに記載されていない地方個体群がある可能性があります。基本的に小型で成熟してオスの第1背鰭は伸長せず、尾鰭や臀鰭には点列が現れる個体群等がいます。

haze-naganogori2.jpg

ナガノゴリ

ハゼ科チチブ属
学名:Tridentiger kuroiwae
 南西諸島の河口から淡水域までにみられます。写真はまだ子供の個体です。
頭部に青い斑点があることが特徴です。黄色い縞模様も特徴的です。
「日本の汽水にすむハゼ」でも紹介中です。

haze-hisuibouzu.jpg

ヒスイボウズハゼ

ハゼ科ナンヨウボウズハゼ属
学名:Stiphodon alcedo
 沖縄県の河川で見られますが詳細は不明です。2012年に正式に発見されたハゼで、生態などの詳しい研究はこれからです。
写真提供:前田健氏

nihon tansui biwayoshinobori.jpg

ビワヨシノボリ

ハゼ科ヨシノボリ属
学名:Rhinogobius biwaensis
 琵琶湖の固有種とも言われており、同じく琵琶湖や関西周辺で見られるオウミヨシノボリとは違った生活を送っているようです。外来魚の移入などによる影響が心配されます。

ハゼの部屋 日本の淡水にすむハゼ ブナガヤーボウズハゼ (前田 健氏提供).jpg

ブナガヤーボウズハゼ

ハゼ科ヨロイボウズハゼ属
学名:Lentipes bunagaya
 沖縄本島の小河川の中・上流域の流れ激しい場所で見られます。オスは、頭部や体側、背鰭、臀鰭が鮮やかな赤色になること等が特徴です。(写真提供:前田健氏)

haze-hokurikujyuzukake.jpg

ホクリクジュズカケハゼ

ハゼ科ウキゴリ属
学名:Gymnogobius sp.2
 富山平野のみに生息するとされるジュズカケハゼ類です。
 第2背鰭の黒斑や背鰭前方の鱗域、第2背鰭と臀鰭軟条の数などで他地域のジュズカケハゼ類と分けられるようです。

haze-hoshimadara.jpg

ホシマダラハゼ

カワアナゴ科ホシマダラハゼ属
学名:Ophiocara porocephala
 琉球列島のマングローヴ等の汽水域周辺に生息します。
淡水域でも見られることから、ここでも紹介しています。

haze-musashinojyuzukake2.jpg

ムサシノジュズカケハゼ

ハゼ科ウキゴリ属
学名:Gymnogobius sp.1
那珂川、利根川水系、荒川水系、多摩川水系等に生息します。体長5㎝程度で頭頂部にふつう鱗域ないこと、メスの婚姻色は黄色横帯が現れることが特徴ですが、よく似た種がいるので観察が必要です。
*水越秀宏氏採集、提供

ヤイマヒラヨシノボリ

ヤイマヒラヨシノボリ

ハゼ科ヨシノボリ属
学名:Rhinogobius yaima
 石垣島と西表島に分布しており、河川の早瀬など流れの強い場所に生息します。体は扁平で頭部から体の前半部に2,3本の赤褐色の筋模様があること等が特徴です。分類が進みヒラヨシノボリの八重山諸島集団にこの和名が付きました。

ハゼの部屋 日本の淡水にすむハゼ ヨロイボウズハゼ (前田 健氏提供).jpg

ヨロイボウズハゼ

ハゼ科ヨロイボウズハゼ属
学名:Lentipes armatus
 鹿児島県の種子島以南に分布。主に小河川の中・上流域の流れ激しい場所で見られます。吻端はボウズハゼのように丸くならず、体はやや扁平になります。青味がかった体色とオスの第二背鰭基底付近に暗色横帯があること等が特徴です。(写真提供:前田健氏)

ハゼの部屋 日本の淡水にすむハゼ ルリボウズハゼ.jpg

ルリボウズハゼ

ハゼ科ボウズハゼ属
学名:Sicyopterus lagocephalus
 琉球列島や小笠原諸島など黒潮の影響のある地域の河川にみられます。主に河川の中・上流域に生息し、藻類を食べます。オスは鮮やかな青緑輝色になり尾鰭はオレンジ色になりますが、メスの体色はあまり鮮やかになりません。

日本の汽水にすむハゼ フィールド画像 (番匠川 大分県)

日本の汽水にすむハゼ

日本には浜名湖や宍道湖、有明海のように広大な汽水域があります。そこには独自の分化を遂げたハゼがいます。ただ、汽水域は埋め立てなどによって世界的に減少傾向にあり、そこにすむ生きものも危機にあります。
(写真:番匠川 大分県)


日本の汽水にすむハゼ フィールド画像 (有明海 佐賀県)

(写真:有明海 佐賀県)


haze-asagara.jpg

アサガラハゼ

ハゼ科アサガラハゼ属
学名:Caragobius urolepis
 琉球列島(沖縄県)の河口干潟に生息するハゼです。
体は細長く、赤っぽいのですがれっきとしたハゼの仲間です。汚染されていないきれいな泥の中に生息し、微生物を食べているようです。環境が悪化するとすぐに減少する種の一つです。

ハゼの部屋 日本の汽水にすむハゼ イズミハゼ.jpg

イズミハゼ

ハゼ科アベハゼ属
学名:Mugilogobius sp.
 日本では長崎県五島列島、鹿児島県種子島以南に分布しており、河口やマングローブ等の汽水域の軟泥底に生息します。眼の下に黒いすじ模様があり、尾部に数本の暗褐色横帯があること等が特徴です。

haze-iwa.jpg

イワハゼ

ハゼ科ウロハゼ属
学名:Glossogobius celebius
 琉球列島以南の感潮域から河川中流域に生息します。
眼の後方に暗色部がないこと、頬に黒斑が並ぶことなどが特徴です。東南アジアの市場では普通に見られる種類です。

写真提供:仲里裕子氏

haze-inko.jpg

インコハゼ

ハゼ科インコハゼ属
学名:Exyrias puntang
 琉球列島の河川河口などの汽水域に生息します。
 頭部や体は扁平し、第1背鰭は三角形で第三棘が伸長します。
 マングローブ帯でよく見られます。

haze-kasumi.jpg

カスミハゼ

ハゼ科キララハゼ属
学名:Acentrogobius janthinopterus
 琉球列島に分布しており、マングローブ周辺の軟泥底に生息します。幼魚は体側から背面にかけてと第一、第二両背鰭に黒色斑が点在すること等が特徴です。

haze-kabuki.jpg

カブキハゼ

ハゼ科カブキハゼ属
学名:Eugnathogobius mindora
 沖縄県の内湾や河口域で見られます。マサゴハゼやスナゴハゼに似ていますが、頬の縞模様などで区別できます。マングローヴ域に多いようです。
(採集:山口大学 乾隆帝さん、画像提供:福岡工業大学 前田 健さん)

haze-kirara.jpg

キララハゼ

ハゼ科キララハゼ属
学名:Acentrogobius viridipunctatus
 日本では沖縄島の大きな汽水域の泥底、砂泥底に生息します。体長は10㎝以上になり、泥に穴を掘って産卵するため、広く柔らかい泥干潟が必要なようです。

nihon_kisui_kurotosaka.jpg

クロトサカハゼ

ハゼ科トサカハゼ属
学名:Cristatogobius nonatoae
 琉球列島以南の汽水域のマングローヴ域や河口干潟などに生息します。名前のとおり鶏冠のような皮弁が特徴的で、オスは第一背鰭が発達します。

haze-shimofurishima.jpg

シモフリシマハゼ

ハゼ科チチブ属
学名:Tridentiger bifasciatus
 北海道から九州までの規模の大きな汽水域に生息します。
下顎の下面に白点があることや胸鰭に遊離軟条がないこと等が特徴です。また体色変化が激しい種で す。アカオビシマハゼそっくりですが、和歌山県では本種の生息をまだ確認できていないので、こっちのコーナーで紹介してます。

haze-jyanome.jpg

ジャノメハゼ

カワアナゴ科ジャノメハゼ属
学名:Bostrychus sinensis
 
琉球列島のマングローヴ域でよく見られます。
尾鰭(おびれ)の付け根に蛇の目模様があるのが特徴です。また、吻端にある前鼻管が長い事も特徴です。基本的に夜行性です。

  *生体は内山りゅう氏より提供

haze-shoki.jpg

ショウキハゼ

ハゼ科チチブ属
学名:Tridentiger barbatus
 有明・八代海や伊勢湾、瀬戸内海など大規模な汽水環境のある地域で見られるハゼです。
主に有明・八代海に分布する種のよ うですが、詳細は不明です。エラから口の周りにヒゲ(皮弁)が多数あることが特徴です。外来生物として、アメリカのカリフォルニア州に定着しているようで す。

haze-shirochichibu.jpg

シロチチブ

ハゼ科チチブ属
学名:Tridentiger nudicervicus
 九州の有明海と香川県の瀬戸内海の一部に生息することが知られています。
胸鰭の上方に遊離軟条が1本あること、縦列鱗数が42枚以下であることで他のチチブ属魚類と区別できますが、パッと見で区別することは難しいかもしれませんね。画像のように顔に褐色の特徴的な模様がいつも出ているといいのですが。

*生体は内山りゅう氏、中島 淳氏より提供

haze-shinjiko.jpg

シンジコハゼ

ハゼ科ウキゴリ属
学名:Gymnogobius taranetzi
 
島根県、福井県、石川県、富山県の汽水域に生息するハゼです。
島根県の宍道湖(しんじこ)が名前の由来になっています。ハゼでは珍しくメスに婚姻色が現れる種類で、オスに求愛行動を起こします。

haze-suzume.jpg

スズメハゼ

ハゼ科キララハゼ属
学名:Acentrogobius viganensis
 琉球列島に分布しており、河口や内湾にあるマングローブ周辺の軟泥底に生息します。体側に輝青色や輝緑色が点が散在すること等が特徴です。

haze-sunago.jpg

スナゴハゼ

ハゼ科スナゴハゼ属
学名:Pseudogobius poicilosoma
 種子島以南の干潟や河口などの汽水域に生息します。第1背鰭の基底付近の体側に黒色帯があること等が特徴です

ハゼの部屋 日本の汽水にすむハゼ セイタカスジハゼ(画像のみ差し替え).jpg

セイタカスジハゼ

ハゼ科キララハゼ属
学名:Acentrogobius multifasciatus
 琉球列島に生息します。
臀鰭に斜線があること、腹側に横帯があることが特徴です。スジハゼに比べて体高が高いことで見わけます。

haze-tanuki.jpg

タヌキハゼ

ハゼ科アベハゼ属
学名:Mugilogobius sp.2
 沖縄県の八重山諸島に分布しています。
干潟の水たまりのような場所や、水路などに見られます。ムジナハゼと類似しますが、尾鰭の模様や鱗の数で見分けられます。

haze-tokage.jpg

トカゲハゼ

ハゼ科トカゲハゼ属
学名:Scarelaos histophorus
 
国内では沖縄島の限られた干潟のみで確認されています。
泥の柔らかい干潟に生息している体長12㎝程のハゼです。第1背ビレがピンと伸びているので、他のトビハゼなどと遠くからでも区別できます。

ハゼの部屋 日本の汽水にすむハゼ トサカハゼ(画像のみ差し替え).jpg

トサカハゼ

ハゼ科トサカハゼ属
学名:Cristatogobius lophius
 日本では屋久島以南、主に沖縄県の石垣島と西表島に分布しており、内湾汽水域の軟泥底に生息します。頭部に「とさか状」の皮弁があること等が特徴です。

haze-naganogori.jpg

ナガノゴリ

ハゼ科チチブ属
学名:Tridentiger kuroiwae
 南西諸島の河口から淡水域までにみられます。
南西諸島にはチチブやヌマチチブがいないので、ちょうどその代わりにナガノゴリがいる感じです。頭部に青い斑点があることが特徴です。
「日本の淡水にすむハゼ」でも紹介中です。

haze-nami.jpg

ナミハゼ

ハゼ科アベハゼ属
学名:Mugilogobius chulae
 琉球列島のマングローヴなどの汽水域に生息します。
尾鰭の模様と第1背鰭の鰭条が伸びることが特徴です。

haze-niku.jpg

ニクハゼ

ハゼ科ウキゴリ属
学名:Gymnogobius heptacanthus
 北海道から九州の内湾などの汽水域に生息するハゼです。
ビリンゴ等に似ていますが口が大きいことで見分けがつきます。和歌山県にも生息していそうですが、文献にも見あたらず、私も採集したことがないので、ひとまずこっちのコーナー(日本の汽水)に入れました。

ハゼの部屋 日本の汽水にすむハゼ フタスジノボリハゼ.jpg

フタスジノボリハゼ

ハゼ科フタスジノボリハゼ属
学名:Amoya moloanus
 日本では沖縄島、久米島以南に分布しており、内湾汽水域の軟泥底に生息します。眼の下に黒いすじ模様があり、体側背側と中央に暗色破線がある等が特徴です。


haze-hoko.jpg

ホコハゼ

ハゼ科ホコハゼ属
学名:Pseudapocryptes elongatus
鹿児島県奄美大島の内湾などの軟泥の干潟で見られるようですが、稀少だと思われます。画像の個体は外国(インドネシア)産の標本です。現地ではホコハゼの仲間は普通に魚市場に出ているようです。

haze-hoshimadara.jpg

ホシマダラハゼ

ノコギリハゼ科ホシマダラハゼ属
学名:Ophiocara porocephala
 琉球列島のマングローヴ等の汽水域周辺に生息します。
幼魚と成魚では体色に違いがあります。非常に大型になる種で地元では食用にもされますが、生態の多くは不明です。甲殻類を好んで食べます。

ハゼの部屋 日本の汽水にすむハゼ ホホグロスジハゼ.jpg

ホホグロスジハゼ

ハゼ科キララハゼ属
学名:Acentrogobius suluensis
 日本では鹿児島県以南に以南に分布しており、内湾汽水域の軟泥底に生息します。第2背鰭先端部に黒斑があること、背面部の背鰭前方に鱗がないこと等が特徴です。


haze-mangurobugoma.jpg

マングローブゴマハゼ

ハゼ科ゴマハゼ属
学名:Pandaka lidwilli
   琉球列島のマングローブ林の根本や河口のたまり等に生息します。体は最大1㎝程度で第1背鰭前方に黄色斑が目立つこと、青輝斑がないこと等が特徴です。ゴマハゼ属はいずれの種も小さいので観察が必要です。

nihon kisui mizujihaze.jpg

ミスジハゼ

ハゼ科オキナワハゼ属
学名:Mugilogobius sp.
 日本では沖縄県の西表島に分布しており、河口やマングローブ等の汽水域の軟泥底に生息します。眼の下に黒いすじ模様があり、尾部に数本の暗褐色横帯があること等が特徴です。

haze-mitsuboshigoma.jpg

ミツボシゴマハゼ

ハゼ科ゴマハゼ属
学名:Pandaka trimaculata
 琉球列島以南に生息することが知られています。
マングローヴなど河口汽水域に生息している体長1㎝ほどの小さなハゼです。第1背鰭に黄色斑があること、太短い体型であることでゴマハゼと区別できます。

ミナミトビハゼ

ミナミトビハゼ

ハゼ科トビハゼ属
学名:Periophthalmus argentilineatus
 
琉球列島のマングローヴ等の汽水域に生息するハゼです。
トビハゼのように陸上を跳び回ったりします。第1背鰭(せびれ)の模様と胸鰭(むなびれ)の形でトビハゼと区別が出来ます。トビハゼと同じ場所に生息する場合は、すみわけているようです。

ムツゴロウ

ムツゴロウ

ハゼ科ムツゴロウ属
学名:Boleophthalmus pectinirostris
 
九州西部の有明海、八代海の干潟に生息します。
泥上に生える珪藻(けいそう)を食べる草食性です。汚染されていないきれいな泥を好み、穴を掘って生息します。冬場は巣穴にこもって越冬します。地元では食用にもなっています。

nohon_kisui_mejiri.jpg

メジリハゼ

ハゼ科キララハゼ属
学名:Acentrogobius ocyurus
 日本では琉球列島に分布しており、主に内湾などの干潟に生息します。眼の後方に黒いすじ模様があり、第一背鰭棘は伸びます。また頭部を中心に青輝点が散在します。

haze-yaeyamanokogiri.jpg

ヤエヤマノコギリハゼ

カワアナゴ科ノコギリハゼ属
学名:Butis amboinensis
 八重山諸島の河口、マングローヴ域に生息するハゼです。
ヒルギ等のマングローヴ植物の気根や支柱根の陰に隠れてはうように移動して生活します。基本的に夜行性のようですが生態は不明な点が多い種です。

nihon kisui wakakesarasahaze.jpg

ワカケサラサハゼ

ハゼ科サラサハゼ属
学名:Amblygobius linki
 日本では屋久島以南の河口やマングローブ等の汽水域や内湾の軟泥底に生息します。頭部から3本の黒色縦線があること、その縦線と交差するように、体側に細く薄い横帯が複数見られることなどが特徴です。

日本の海にすむハゼ フィールド画像 (江崎漁港 山口県)

日本の海にすむハゼ

南北に長く、海に囲まれた日本には多くの魚が見られます。ハゼも例外ではなく、とても豊富な種類数が確認されています。
(写真:江崎漁港 山口県)


日本の海にすむハゼ フィールド画像 (高見島 香川県)

(写真:高見島 香川県)


haze-akebono.jpg

アケボノハゼ

クロユリハゼ科ハタタテハゼ属
学名:Nemateleotris decora
 
琉球列島のサンゴ礁域に群をつくって生息しています。頭部の紫色と鰭(ひれ)の赤が美しく、ダイバーにも人気のハゼです。

haze-itokakehookagi.jpg

イトカケホオカギハゼ

ハゼ科ホオカギハゼ属
学名:Ancistrogobius yoshigoui
 
奄美大島以南の内湾の泥底、砂泥底に生息します。体長5㎝程度で、第1背鰭は伸びず、その先端は黒く縁取られ、その下に黄色斑があること等が特徴です。

haze-umisyoubu.jpg

ウミショウブハゼ

ハゼ科ウミショウブハゼ属
学名:Pleurosicya bilobata
 沖縄島や八重山諸島に生息することが知られています。体長2㎝ほどで体も半透明なハゼです。普段はウミショウブやアマモ類のような海草の表面にくっついて生活しています。ちょっとウバウオにも似ていますね。

haze-kinubari-j.jpg

キヌバリ(日本海型)

ハゼ科キヌバリ属
学名:Pterogobius elapoides
太平洋側のものに比べて黒色帯が一本多い7本であることが特徴です。これは、地域差・地方変異とされ、種としては太平洋側のキヌバリと同種とされています。

haze-ginga.jpg

ギンガハゼ

ハゼ科イトヒキハゼ属
学名:Cryptocentrus cinctus
 八重山諸島(沖縄県)のサンゴ礁域に生息し、テッポウエビ類と共生することが知られています。
体色は黒っぽい個体と画像のような黄変個体があり、観賞用には黄変個体が多く流通しています。

haze-kesyou.jpg

ケショウハゼ

ハゼ科ケショウハゼ属
学名:Oplopomus oplopomus
 奄美大島以南の内湾の砂泥底に生息します。体長9㎝程度でオスの第1背鰭には大きな黒斑があること尾鰭基底に黒色斑が2つあること等が特徴です。

haze-shiranui.jpg

シラヌイハゼ

ハゼ科シラヌイハゼ属
学名:Silhouettea dotui
 青森県から日本海、干潟や沖合の瀬に生息します。背鰭や腹鰭の前方の鱗の有無などで区別できます。ヒメハゼ類に似ていますが、慣れれば見分けられます。

haze-somewakeiso.jpg

ソメワケイソハゼ

ハゼ科イソハゼ属
学名:Eviota nigriventris
 琉球列島の水深30mまでの内湾やサンゴ礁域等のサンゴ周辺やガレ場に生息します。体長2㎝程度で、体は半透明で体側には太い縦帯がありその上縁に沿って白色立て線があること、尾鰭基底下部に黒色斑が1つあることなどが特徴です。

haze-tumagurosankaku.jpg

ツマグロサンカクハゼ

ハゼ科サンカクハゼ属
学名:Fusigobius melacron
 
高知県以南の水深40mまでのドロップオフ等の砂泥底の斜面に生息します。体長5cm程度で第1背鰭は烏帽子型で黒色斑があることが特徴です。

haze-nirami.jpg

ニラミハゼ

ハゼ科ニラミハゼ属
学名:Heteroplopmus barbatus
 日本海では、青森県から長崎県周辺の東シナ海、有明海、太平洋側では青森県から土佐湾までに生息します。頭部が扁平していること、下あご下部に突起があること、背鰭前方に鱗があることなどで区別できます。

haze-bakemimizu.jpg

バケミミズハゼ

ハゼ科ミミズハゼ属
学名:Luciogobius sp.4
福島県から静岡県までの岩礁転石帯で見られますが詳細は不明です。10センチ以上になり肉食性の強いミミズハゼです。生態などの詳しい研究はこれからみたいです。

haze-hatatateshinobi.jpg

ハタタテシノビハゼ

ハゼ科シノビハゼ属
学名:Ctenogobiops tangaroai
 琉球列島のサンゴ礁域に生息しています。第1背鰭(せびれ)の第1、2棘(きょく)が伸びることが知られています。
このシノビハゼ属のハゼは、テッポウエビ類と共生することが知られている種が多くいます。

haze-higemimizu1.jpg

ヒゲミミズハゼ

ハゼ科ミミズハゼ属
学名:Luciogobius saikaiensis
 石川県から熊本県、愛媛県の波の荒い転石帯にすんでいます。体長3㎝ぐらいのミミズハゼの仲間で、顔に火ゲのようなものがあること、尾鰭(おびれ)のつけねに明確な暗色線があることが特徴です。

haze-himekuroito.jpg

ヒメクロイトハゼ

ハゼ科クロイトハゼ属
学名:Valenciennea parva
 高知県以南の水深25mまでの内湾やサンゴ礁域等の砂泥底に生息します。体長7cm程度で、体側に黄褐色縦線が2本あること、鼻孔が黒いこと等が特徴です。

haze-hirehurisankaku.jpg

ヒレフリサンカクハゼ

ハゼ科サンカクハゼ属
学名:Fusigobius signipinnis
 奄美大島以南の水深30mまでのドロップオフ等の砂泥底の斜面に生息します。体長5cm程度で第1背鰭は三角形で赤褐色斑があり、虹彩は赤いことが特徴です。

haze-beta.jpgベタハゼ

ベタハゼ

ハゼ科ベタハゼ属
学名:Platygobiopsis tansei
 日本沿岸のやや深い海底に生息しますが、詳細は不明な点が多くあります。体は非常に扁平しています。底曳網などで混獲されますが、利用されません。

haze-mizutama.jpg

ミズタマハゼ

ハゼ科シノビハゼ属
学名:Valenciennea sexguttata
 
沖縄県慶良間諸島、八重山諸島のおだやかな内湾の砂底やサンゴ礁周辺に生息します。第1背鰭の先に黒斑がひとつあり、頭部に数個の水色小点があることが特徴です。

haze-yanoukihoshi.jpgベタハゼ

ヤノウキホシハゼ

ハゼ科ホシハゼ属
学名:Asterropteryx atripes
 
奄美大島以南の水深55mまでの内湾やサンゴ礁域等の泥底、砂泥底に生息します。体長3cm程度で、数十から数百個体で群がりをつくり、中層でホバリングをすること、青輝点が縦列をなすことなどが特徴です。

ハゼの部屋 日本の海にすむハゼ リュウキュウナミノコハゼ(画像のみ差し替え).jpg

リュウキュウナミノコハゼ

スナハゼ科スナハゼ属
学名:Kraemeria cunicularia
 千葉県と琉球列島以南に生息することが知られています。きめの細かい砂浜の波打ち際などに生息している体長4㎝ほどのハゼです。突き出た下あごで砂をかき分けて、素早く砂の中へ隠れてしまいます。

nihon umi wakakesarasaahze.jpg

ワカケサラサハゼ

ハゼ科サラサハゼ属
学名:Amblygobius linki
 日本では屋久島以南の河口やマングローブ等の汽水域や内湾の軟泥底に生息します。頭部から3本の黒色縦線があること、その縦線と交差するように、体側に細く薄い横帯が複数見られることなどが特徴です。