白亜紀前期の化石
恐竜の化石
恐竜(歯)の化石
名前:カルノサウルス類?の一種
学名:Carnosauria ? gen.et sp. indet.
産地:和歌山県有田郡湯浅町
地層:湯浅層
年代:中生代白亜紀前期(約1億3000万年前)
ナイフのような形の歯で、縁に鋸歯がある(ギザギザがある)ことから、肉食恐竜(獣脚類)の歯であることは間違いありません。
ただ、肉食恐竜はどのグループもよく似た形の歯を持っているので、詳しい種類を調べるのは非常に困難です。いくつかの細かい特徴から、第1候補としてカルノサウルス類が挙げられますが、現段階では確実なことは言えません。
なお、恐竜の体長は、歯の化石1本からでも保存の良い同類の化石と比較することによって、おおよその推定は可能です。
特に肉食恐竜の場合、大きな歯の持ち主は体も大きいという傾向がはっきりしています。この化石の場合、歯の大きさ(約2.6cm)から全長は3~4m(尻尾を含む)程度であったと推定されます。
カルノサウルス類って何?
細長い頭骨を持つなどの特徴を持った中型から大型の肉食恐竜の1グループに対する総称で、ジュラ紀中期から白亜紀後期に、世界的に広く分布(オセアニアとインドを除く)していたと考えられています。カルノサウルス類に属する代表的な恐竜としては、アロサウルスやアクロカントサウルス、シンラプトルなどが挙げられます。
恐竜(歯)の化石
名前:スピノサウルス類の一種
学名:Spinosauridae gen.et sp. indet.
産地:和歌山県有田郡湯浅町
地層:湯浅層
年代:中生代白亜紀前期(約1億3000万年前)
寄贈:宇都宮聡氏
今回発見された歯化石は、不完全ではあるものの円錐形であったと推測され、表面にはっきりとした縦方向の条線が確認できます。さらに、東京都市大学の中島保寿准教授に電子顕微鏡による断面の微細構造の観察・分析を依頼した結果、歯の表面のエナメル質が厚いことなどの特徴が見られました。これらの特徴の組み合わせは、他の恐竜やワニなどでは確認されておらず、スピノサウルス類でのみ確認されていることから、この化石はスピノサウルス類の歯と同定されました。
スピノサウルス類って何?
獣脚類スピノサウルス科に属する恐竜の総称です。恐竜では珍しく水中で泳ぐことが得意で、主に魚を捕食していたと考えられています。スピノサウルス科にはいくつかの属が含まれますが、特にスピノサウルス属は、体長15mに達する大型恐竜で、背中に帆がある等ユニークな特徴を持つことから恐竜ファンの間でも人気が高く、映画「ジュラシックパーク」シリーズに登場したことでも有名です。スピノサウルス類の化石は、以前は主にアフリカ大陸などで発見されていましたが、近年になってタイ王国などの東南アジアからも多く発見されるようになりました。なお、今回発見された化石については、スピノサウルス類の詳しい種類等は不明です。
(画像提供 古生物イラストレーター 川崎悟司氏)
甲殻類の化石
名前:ホプロパリア・ナツミアエ (ナツミコアカザエビ)
学名:Hoploparia natsumiae
産地:和歌山県有田郡湯浅町栖原
地層:有田層
年代:中生代白亜紀前期(約1億3000万年前)
寄贈:熊谷菜津美氏
ホプロパリア1
ホプロパリア2
ホプロパリア属は、現生のアカザエビやロブスターの祖先にあたるエビで、白亜紀前期に出現し、新第三紀に絶滅したと考えられています。白亜紀前期の化石は世界的に見ても少ないので、とても貴重な標本です。ちなみに、種小名のナツミアエは発見者である熊谷菜津美さんの名前に由来します。なお、1つめの写真は頭胸甲と腹部の化石、2つめの写真は鋏脚(ハサミ)の化石です。